私はお燗名人である。
とは言え、料亭とやらでお燗番の修業を積んだ訳ではない。
先日、仕事を休んで「お燗名人」育成講座の講習を受けただけの話。
会津のS酒造主催の講習会である。
内容は、午前中の一時間程度、日本酒の何たるかを「お燗名人」認定講座インストラクターの講義に学び、昼食を挿んで午後から日本酒4種類の利き酒、最後に修了テストといったもの。講座に要する時間は2時間30分程度(昼食時間を除いて)。
日本酒は、昭和49年の消費量(1,000万石=1升瓶10億本)をピークに、現在はその半分以下に落ち込んでいるという。
発泡酒、焼酎に押され、日本酒の低迷ぶりが指摘されて久しいが、その打開策の一つとしてS酒造が独自に日本酒の普及、啓発に励んでいる。
講習会は、県内4会場(会津・福島・郡山・いわき)を定期的に廻り、今回で18回目を数える。
さて、燗酒が温度によって何種類に分けられるかご存知だろうか。
私はてっきり熱燗、温燗のみと思っていた。
講義では6種類と説明を受けた。
30℃の日向燗に始まり、5℃上がる毎に人肌燗、温燗、上燗、熱燗、そして55℃の飛び切り燗。
実際に湯煎で山廃純米酒、普通酒、本醸造酒、大吟醸酒の4種類を常温、35℃、45℃、55℃で飲み比べてみたが、10℃上がるだけで甘味、まろやかさ、香りに違いが出るのが分かる。
どの温度状態が旨いか、受講者の挙手で確認したが、大吟醸酒を除いては45℃、55℃が旨いと結果が出た。
大吟醸酒はさすがに全員一致で常温が旨いと。
燗酒は、アルコールの回りが早いため呑み過ぎないから身体に優しいし、酒の旨味が引き立つ。
燗酒は日本独特の文化である。
受講修了の仕上げとして筆記試験を行い、めでたく受講者全員、「お燗名人」の認定を受けることが出来た。
S酒造の社長手ずから認定証2部(額付A4版サイズと免許証サイズ)、会津本郷焼きのお燗器セット、お燗メーター(温度計)を頂いた。
これらの品と昼食弁当が付いて受講料1,000円とは安い。
「職場を休んで良かったわい」と独り言ちたのは私だけでなかっただろう。
S酒造のこの取り組みは、遊び心があって、力の抜き加減がほろ酔い気分のようで気負いがないところがいい。
今後も地道に回を重ね、燗酒、日本酒の良さを広めてほしいものである。
自己酒歴はひけらかすものではないが、身体が素直に酒を旨いと実感したのは20歳の時。
汗がじっとり粘つく夏の熱帯夜、アルバイトが一段落して無性に喉が乾き、自動販売機で躊躇わずにボタンを押し、その場でプルタブを引き、一気に飲み干した。
ゴクゴクッと喉を通った瞬間の旨さと云ったら何とも言いようがなかった。
ビールで酒の旨さを知り、ウィスキー、テキーラ、ワイン、焼酎などに親しんだが、30代後半まではどうしても日本酒には馴染めなかった。
40歳を界にして、日本酒が心底旨いと呑めるようになった。
五臓六腑に染み渡るとはよく言ったものだ。
この急激な変化は自分でもよく分からない。
眠っていた農耕民族の遺伝子が、突然、目醒めたようだ。
若い頃、日本酒には年寄りが呑むものと爺臭いイメージが漾っていたが、自分もそんな年代に達したのかと一抹の寂しさを感じながらも、そうではなく、日本酒は、人生の甘い辛いを舐めた成熟した大人が呑む酒なんだと思えるようになってきた。
自分なぞは高校時分から一向に成長しない精神構造であるが。
「お燗名人」育成講座の晩は、お燗器にお燗メーターを差し込んで、好みの設定温度で湯煎の燗酒をチビリチビリと楽しんだことは言うまでもない。
*お燗名人講座に興味がおありの方はご連絡ください。
とは言え、料亭とやらでお燗番の修業を積んだ訳ではない。
先日、仕事を休んで「お燗名人」育成講座の講習を受けただけの話。
会津のS酒造主催の講習会である。
内容は、午前中の一時間程度、日本酒の何たるかを「お燗名人」認定講座インストラクターの講義に学び、昼食を挿んで午後から日本酒4種類の利き酒、最後に修了テストといったもの。講座に要する時間は2時間30分程度(昼食時間を除いて)。
日本酒は、昭和49年の消費量(1,000万石=1升瓶10億本)をピークに、現在はその半分以下に落ち込んでいるという。
発泡酒、焼酎に押され、日本酒の低迷ぶりが指摘されて久しいが、その打開策の一つとしてS酒造が独自に日本酒の普及、啓発に励んでいる。
講習会は、県内4会場(会津・福島・郡山・いわき)を定期的に廻り、今回で18回目を数える。
さて、燗酒が温度によって何種類に分けられるかご存知だろうか。
私はてっきり熱燗、温燗のみと思っていた。
講義では6種類と説明を受けた。
30℃の日向燗に始まり、5℃上がる毎に人肌燗、温燗、上燗、熱燗、そして55℃の飛び切り燗。
実際に湯煎で山廃純米酒、普通酒、本醸造酒、大吟醸酒の4種類を常温、35℃、45℃、55℃で飲み比べてみたが、10℃上がるだけで甘味、まろやかさ、香りに違いが出るのが分かる。
どの温度状態が旨いか、受講者の挙手で確認したが、大吟醸酒を除いては45℃、55℃が旨いと結果が出た。
大吟醸酒はさすがに全員一致で常温が旨いと。
燗酒は、アルコールの回りが早いため呑み過ぎないから身体に優しいし、酒の旨味が引き立つ。
燗酒は日本独特の文化である。
受講修了の仕上げとして筆記試験を行い、めでたく受講者全員、「お燗名人」の認定を受けることが出来た。
S酒造の社長手ずから認定証2部(額付A4版サイズと免許証サイズ)、会津本郷焼きのお燗器セット、お燗メーター(温度計)を頂いた。
これらの品と昼食弁当が付いて受講料1,000円とは安い。
「職場を休んで良かったわい」と独り言ちたのは私だけでなかっただろう。
S酒造のこの取り組みは、遊び心があって、力の抜き加減がほろ酔い気分のようで気負いがないところがいい。
今後も地道に回を重ね、燗酒、日本酒の良さを広めてほしいものである。
自己酒歴はひけらかすものではないが、身体が素直に酒を旨いと実感したのは20歳の時。
汗がじっとり粘つく夏の熱帯夜、アルバイトが一段落して無性に喉が乾き、自動販売機で躊躇わずにボタンを押し、その場でプルタブを引き、一気に飲み干した。
ゴクゴクッと喉を通った瞬間の旨さと云ったら何とも言いようがなかった。
ビールで酒の旨さを知り、ウィスキー、テキーラ、ワイン、焼酎などに親しんだが、30代後半まではどうしても日本酒には馴染めなかった。
40歳を界にして、日本酒が心底旨いと呑めるようになった。
五臓六腑に染み渡るとはよく言ったものだ。
この急激な変化は自分でもよく分からない。
眠っていた農耕民族の遺伝子が、突然、目醒めたようだ。
若い頃、日本酒には年寄りが呑むものと爺臭いイメージが漾っていたが、自分もそんな年代に達したのかと一抹の寂しさを感じながらも、そうではなく、日本酒は、人生の甘い辛いを舐めた成熟した大人が呑む酒なんだと思えるようになってきた。
自分なぞは高校時分から一向に成長しない精神構造であるが。
「お燗名人」育成講座の晩は、お燗器にお燗メーターを差し込んで、好みの設定温度で湯煎の燗酒をチビリチビリと楽しんだことは言うまでもない。
*お燗名人講座に興味がおありの方はご連絡ください。
コメント
そんな自分の現在はというと、飲みすぎがたたり、健康診断では社会人になって18年間ずっと肝機能障害でひっかかって、医者からは精神的なアルコール依存症とまで言われてしまいました(笑)。
自分は自分で言うのもなんですが、明るい(バカな)酒飲みですので、酒を飲んだ時の楽しい感覚が大好きで、酒の味なんか関係なく、ただ酔うためだけに飲んでしまいます。
でも、自分ももうすぐ2度目の成人式。一度目の成人式は公に酒を飲めるようになったのですから、二度目の成人式では本当に酒の味を楽しめるようになりたいと思います。
溢れんんばかり注がれた酒。
表面は豊かに弧を描き、眺めるだけで旨そうです。
その旨味を長く楽しむためには休肝日も必要!
酒は友です。ほどほどに。