自然のあらゆる気を、毎日、全身に浴びたい。
見えぬ何かに縋りたくなるほど、過ぎ行く日々を引き止めたい。
5月、6月、身体が一番喜ぶ時期。
新緑の、柔らかな赤子のような葉。
銀杏や、欅の大樹の下から天を仰ぎ見ると、透き通るような淡い緑の葉が気持ち良さそうにさわさわと泳ぎ、木洩れ日がきらきらと優しく降り注ぐ。
大樹に抱かれた、心休まる一時。
山が嗤う。
新緑の、こんもりとした山々が、清らかな酸素を空に放ち、風に合わせて豪快に踊る。
会津平野に眩く広がる水田の海原と、棚田の、自然と調和した美しさはどうだ。
これぞ日本の原風景、誇らしい気分に満たされる。
夜空が割れんばかりに谺する蛙の宴。
蛙の子守唄を聴きながら、うつらうつらと寝床に伏していると、いつの間にか、水面から気持ち良さそうに顔を出して鳴いている蛙に姿が入れ替わる。
郭公の声で眼が覚めた。
樹木の天辺、屋根、アンテナ、電柱の天辺で尾羽を上げ下げしながら啼く。
群れない郭公の姿は孤高を感じさせ、好ましく映る。
百舌鳥などの巣に卵を産みつけ、雛を育てることがない郭公は、生来孤独で、冷淡なのかもしれない。
それでも、まだ見ぬ相手に向かい、いつも一人啼くだけの郭公が気の毒にも思える。
ぴゅるるるる。
或る日、郭公の啼き声が変わった。
声のするほうに目を向けると二羽の郭公の姿が見えた。
直ぐさま一羽が飛び立ち、残る一羽が一声啼いて後を追う。
二羽が大欅に消えた。
ぴゅるるるる。
声だけが残った。
連れ添いを見つけたのか。
今朝も夏鳥、郭公が啼く。
夜には蛙の声が響き渡る。
間もなく螢も舞うだろう。
この日この時は二度と戻らない。
季節は巡り、また違う皐月、水無月がやって来る。
見えぬ何かに縋りたくなるほど、過ぎ行く日々を引き止めたい。
5月、6月、身体が一番喜ぶ時期。
新緑の、柔らかな赤子のような葉。
銀杏や、欅の大樹の下から天を仰ぎ見ると、透き通るような淡い緑の葉が気持ち良さそうにさわさわと泳ぎ、木洩れ日がきらきらと優しく降り注ぐ。
大樹に抱かれた、心休まる一時。
山が嗤う。
新緑の、こんもりとした山々が、清らかな酸素を空に放ち、風に合わせて豪快に踊る。
会津平野に眩く広がる水田の海原と、棚田の、自然と調和した美しさはどうだ。
これぞ日本の原風景、誇らしい気分に満たされる。
夜空が割れんばかりに谺する蛙の宴。
蛙の子守唄を聴きながら、うつらうつらと寝床に伏していると、いつの間にか、水面から気持ち良さそうに顔を出して鳴いている蛙に姿が入れ替わる。
郭公の声で眼が覚めた。
樹木の天辺、屋根、アンテナ、電柱の天辺で尾羽を上げ下げしながら啼く。
群れない郭公の姿は孤高を感じさせ、好ましく映る。
百舌鳥などの巣に卵を産みつけ、雛を育てることがない郭公は、生来孤独で、冷淡なのかもしれない。
それでも、まだ見ぬ相手に向かい、いつも一人啼くだけの郭公が気の毒にも思える。
ぴゅるるるる。
或る日、郭公の啼き声が変わった。
声のするほうに目を向けると二羽の郭公の姿が見えた。
直ぐさま一羽が飛び立ち、残る一羽が一声啼いて後を追う。
二羽が大欅に消えた。
ぴゅるるるる。
声だけが残った。
連れ添いを見つけたのか。
今朝も夏鳥、郭公が啼く。
夜には蛙の声が響き渡る。
間もなく螢も舞うだろう。
この日この時は二度と戻らない。
季節は巡り、また違う皐月、水無月がやって来る。
コメント