29.飢え

2007年12月16日 日常
年内に予定していた掌編を2編書きたいと思っているが、どうしてなかなかペンが進まない。
無理に文字を書き並べようとしても魂の上辺を摩るばかりが関の山で核心に喰い込まない。
仕事から帰って、つぅんと鼻に付く黄麹造りの芋焼酎のきつめの味に舌鼓を打っていると、五臓六腑よりも先に心が満たされるばかりで書く意欲が除々に消滅してくる。
酒顛、美食に毒され感性が浮遊していく。
退院直後の、ガラスの破片のように脆くも研ぎ澄まされた飢えが離れていく。

今晩は書くか。
焼酎の一升瓶を前にして気持ちを固めようとするが、意に介さず、手が勝手に瓶口に伸びて固まりかけたものを溶かしてしまう。

飢えた狼の眼で、人を、世の中を見渡して相えて来る“もの”がある。
肥えた豚になるには易しいが飢えた狼になるには難しい。

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