37.月夜の晩に

2008年3月23日
米スペースシャトル「エンデバー」に搭乗している日本人の様子を、テレビ、新聞の各社が毎日のように報道している。
本来の任務の他に、無重力空間での水飲み、ブーメラン飛ばしなどユーモアある実験を紹介したり、迷走するばかりの福田首相もこの時ばかりは笑顔で日本人宇宙飛行士との交信に応じていた。
世界最大手の某旅行業社は、夢のような宇宙旅行を今年から実施予定としている。
いよいよ宇宙時代の到来か、と以前の私なら感慨深げにこれらの報道を見遣っていただろう。
ところが、某作家との出合いががらりと私の認識を変えた。
言霊溢れた文章は恐ろしいものである。

今の私は、宇宙時代をもてはやす連中を胸の内でこう呼ぶ。
何処も彼処も太平楽の“おんつぁげす”。(「おんつぁげす」は会津弁で、底抜けの馬鹿者を指す)

地球で飽き足らず、生活の場を、避難の場を、旅行の場を、宇宙に求めようなどとふざけた戯けをほざく連中が、人間の皮を被った悪魔か、宇宙上、知能最低のエイリアンとしか思えない。
地球に責任取らずして、有害無用の人類の排泄物を、今度は宇宙にばら撒こうと云うのか。
宇宙に居を移すことで人間の心が豊かになると思っているのか。
宇宙を頼りに逃げ延びて、その先に人間の真の生活があると思っているのか。
そうなればもう人間の枠を超えた怪物でしかない。

人間は地球と運命を共にし、地球が滅ぶとき、人類が滅亡するときである。

宇宙時代をもてはやす連中の、太平楽の笑顔を見ていると、ここにも責任の取り方を知らない、原点に返ろうとしない人間が目に付いて殺意に近い憎しみを抱く。

おんつぁげす達が帰還するまで、しばらくは旨い酒が呑めそうもない。

前夜、会津盆地の東に鋏できれいに円く切り取られたようにくっきりと浮かぶ月が、宇宙に触手を伸ばし始めた人間を、それでも温かく包むかのように隈なく照らしていた。

※「瓜生岩子 全」の紹介は次回に。

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