桜満開。
数日前の連日の暖かさで一気に花開いたようだ。
枝一杯に咲き誇る桜花に吸い付けられるように心浮かれた人々が集っては花見に興ずる。
昼休み、桜の恩恵に欲しようと散歩に出向いた。
淡い桃色に彩られた回廊を潜ると聞き慣れた鳥の啼き声が耳に飛び込んできた。
桜花に見え隠れしながら数羽が飛び交い、感嘆の声を上げている。
鳥さえも誘う桜花。
鵯や 我も花見に 興ずるや
人は、桜花に魅せられ、集い、語らい、酒を飲んでは騒ぎ、果てる。
人は、花を目にしてそこに桜の存在を認めるが、その花が散れば誰も振り返ることはない。
それでも桜は淡々と営みを繰り返す。
花弁がはらはら舞い落ちると同時に赤子のような新芽を生い茂らせ、真夏には成長した葉が嬲(なぶ)るように射し込む太陽の光を和らげては憩いの木陰をつくり、秋には枯れた味わいある茶色に変色した葉をかさこそと落として自らの肥やしとし、冬には裸身を晒して清き修行僧の佇まいで厳しい寒さにじっと耐える。
春以降、移り変わる季節にそれを桜と認め、その姿に魅了される人はいないだろう。
その営みには、媚びりや諂(へつら)いも、小手先の小細工も、狡さも、醜さも、嘘も身勝手さも、己をあくどく利することなど微塵もない。
与えられた生を、無心に潔く、ありのままに生きている。
花の咲き具合に一喜一憂する人間どもを歯牙にも掛けず、ただ為すべきことを為す桜の生き方に、私は慎み深い人間味を覚え、強く惹かれる。
ただひたすらに自分の生き方を信じ、無名のまま歴史に埋もれていった人を、称賛や冠名など人間の勝手な戯言と営み続ける桜に見るようで励まされる。
花はなくとも、桜は桜。
数日前の連日の暖かさで一気に花開いたようだ。
枝一杯に咲き誇る桜花に吸い付けられるように心浮かれた人々が集っては花見に興ずる。
昼休み、桜の恩恵に欲しようと散歩に出向いた。
淡い桃色に彩られた回廊を潜ると聞き慣れた鳥の啼き声が耳に飛び込んできた。
桜花に見え隠れしながら数羽が飛び交い、感嘆の声を上げている。
鳥さえも誘う桜花。
鵯や 我も花見に 興ずるや
人は、桜花に魅せられ、集い、語らい、酒を飲んでは騒ぎ、果てる。
人は、花を目にしてそこに桜の存在を認めるが、その花が散れば誰も振り返ることはない。
それでも桜は淡々と営みを繰り返す。
花弁がはらはら舞い落ちると同時に赤子のような新芽を生い茂らせ、真夏には成長した葉が嬲(なぶ)るように射し込む太陽の光を和らげては憩いの木陰をつくり、秋には枯れた味わいある茶色に変色した葉をかさこそと落として自らの肥やしとし、冬には裸身を晒して清き修行僧の佇まいで厳しい寒さにじっと耐える。
春以降、移り変わる季節にそれを桜と認め、その姿に魅了される人はいないだろう。
その営みには、媚びりや諂(へつら)いも、小手先の小細工も、狡さも、醜さも、嘘も身勝手さも、己をあくどく利することなど微塵もない。
与えられた生を、無心に潔く、ありのままに生きている。
花の咲き具合に一喜一憂する人間どもを歯牙にも掛けず、ただ為すべきことを為す桜の生き方に、私は慎み深い人間味を覚え、強く惹かれる。
ただひたすらに自分の生き方を信じ、無名のまま歴史に埋もれていった人を、称賛や冠名など人間の勝手な戯言と営み続ける桜に見るようで励まされる。
花はなくとも、桜は桜。
コメント
季節ごとに色んな表情を見せる桜、花の咲かない木々でも新緑には青い葉を見せ秋には紅葉するのですから、桜よりは人の目には鮮やかには映らない事と思います。
その木はどうでしょうか、桜の花の下で宴、酒を飲む人間、桜のことを羨ましく思うのかも知れませんね。
人と一緒で人生の中で花を咲かす人も居れば、実を育てる人も居るし、実も花も咲かず季節を楽しむ人も居います。
もしかしたら木々も同じ人間なのかもしれませんね(笑)
それでも自然はそこに在るだけで癒されたりするのだと思います。
これも仏教の言葉なのですが
綺り巧みて、つくろうことなく
我は素朴の人とならむ
ののしりて、ひとをあなどらず
与えられざるものを、手にすることなく
我は他人の幸せをもたのしまむ
老いぼれじじいの独り言と思って聞き流してください。
年中で特に心身を癒してくれる5月、6月の季節には、温泉に浸かった時に漏れる溜息と同じものが何回も口から吐き出されます。
さっさと仕事を切り上げ、早く陋屋の庭を眺めたいと帰宅を急ぐこの頃です。
くうやさんの含蓄ある言葉にはいつも教えられます。
へそ曲がりな私は、これと言った理由なしに「皆一斉に右倣え!」のような大衆心理に対して拒否感というよりも常に嫌悪感に近い感情を抱きます。
その見方に、自分の捻れた性格が表れているようで辟易することもありますが、その目は間違いなく私です。
心底を眺めるように見渡した時、偽らずにそのままの姿を見せてくれるのは自然です。
朴訥剛毅な自然になれたら…
日々教えられることばかりです。